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小田急電鉄の14件は、すべてごみ収集の事業「WOOMS」につながっている。
座間市で運搬回数を4年で19%減らし、2025年には東京23区に初めて入った

小田急電鉄は2019年、米国のごみ収集テクノロジー企業と手を組み、沿線の座間市でごみ収集のデジタル化を試し始めました。2021年に事業「WOOMS」として始動し、名古屋・仙台・横浜・川崎、そして東京23区の練馬区へ広がっています。年表14件の流れを、発表の数字で追います。

2026年10月16日じっくり読んで 約6分
記録した新規事業
14件
2019年3月の米ルビコン・グローバルとの基本合意から、2025年11月の練馬区との協定まで、小田急電鉄と自治体の発表から拾って年表に並べた件数です
座間市の運搬回数
19%減
2020年度の10,943回が、2023年度は8,911回に。焼却量は約14%減りました(2024年7月の発表)
導入していた自治体
6自治体
2024年10月のグッドデザイン金賞の審査委員の評価に「既に全国6自治体で導入されている」とあります
粗大ごみのルートづくり
5分
練馬区の実証で、これまで約3.5時間かかっていたルートづくりを、WOOMSの新しい機能で約5分にする(2025年11月の発表)
この記事はこんな方に
  • 自治体と組む新規事業を考えている方へ。座間市との協定(2019年6月)から、実証(2020年8月)、事業の始動(2021年9月)まで、ひとつの市と2年かけて形にした順番を追えます
  • 実証の成果をどう数字で示すか考えている方へ。座間市の運搬回数は10,943回から8,911回(19%減)、焼却量は約14%減。成果の出し方の例として読めます
  • 鉄道会社の新しい収益源を探している方へ。線路の上ではなく、沿線の街の「ごみ収集」を事業にした例です。東急・JR東日本の年表とあわせて読むと違いが見えます
3行でいうと
  1. 小田急電鉄の年表14件は、すべてごみの収集と資源の循環につながる発表だった。2019年3月に米国のルビコン・グローバルと基本合意し、6月に沿線の座間市と協定を結び、2020年8月から座間市で実証を始めた。
  2. 2021年9月、ウェイストマネジメント事業「WOOMS」として始動した。紙おむつのリサイクル、生ごみの堆肥化、事業者向けサービス、航空燃料の原料集めと、ごみの種類ごとに取り組みを広げた。
  3. 座間市では運搬回数が4年で19%減り、2024年にグッドデザイン金賞を受けた。名古屋・仙台・横浜・川崎へ広がり、2025年11月には東京23区で初めて練馬区と協定を結んだ。

小田急電鉄の年表14件を、何の事業の発表かで分けてみた。

14件すべてが、ごみの収集と資源の循環につながる発表だった。

2019年3月に米国のごみ収集テクノロジー企業と手を組み、6月に沿線の座間市と協定、2020年8月に座間市で実証、2021年9月に事業「WOOMS」として始動。そこから名古屋・仙台・横浜・川崎、2025年には東京23区の練馬区へと広がっている。

この記事は2026年10月時点の公開情報にもとづきます。内容は小田急電鉄株式会社のニュースリリースと、WOOMSのお知らせ、共同で発表した自治体の発表の記載です。横浜市(2024年5月)と川崎市(2025年10月)は自治体側の発表で、小田急電鉄自身のリリースは確認できていません。売上・利益・出資額は、どの発表にも書かれていません。

最初の一歩は、米国のごみ収集テクノロジー企業との基本合意

2019年3月、小田急電鉄は米国のルビコン・グローバル社と基本合意書を結んだ。ごみの収集運搬を効率化する同社の技術を、国内の廃棄物事業者と一緒に試す。発表には、ルビコンは企業価値10億ドルを超え、2017年に世界経済フォーラムの賞を受けたとある。

同じ年の6月、小田急線が走る神奈川県座間市と、資源の循環を進めるための協定を結んだ。2020年8月から、座間市で収集場所をデジタル地図にし、収集車の動きをリアルタイムで見て、データで回るルートを組み直す実証を始めた。

用語ウェイストマネジメントうぇいすとまねじめんと

ごみ(廃棄物)の収集・運搬・処理・再資源化を、全体としてうまく回す仕組み。小田急電鉄はこれを「新たなインフラ」と位置づけ、2021年9月に事業「WOOMS」を始めた。

CHART

事業稼働チャート

年表の取り組みのうち、2026年まで小田急の発表(WOOMSのお知らせ)で続いていることを確かめられたもの
ウェイストマネジメント事業「WOOMS」(2020年8月に座間市で実証、2021年9月に始動)2020–
フードサイクルプロジェクト(座間市・農林水産省と。2022年7月開始)2022–
20192020202120222023202420252026
継続中役目を終えた

2021年9月、事業「WOOMS」として始動

2021年9月1日、小田急電鉄はウェイストマネジメント事業「WOOMS」を始動した。ビジョンは「“ごみ”のない世界へ。Beyond Waste」。収集車の運転手が使う「収集サポート」、収集の状況を管理する「管理サポート」、書類の手続きを手伝う「事務処理サポート」と、市民向けの教育などの「資源循環サポート」を、自治体と廃棄物の事業者に届ける。

そこから、ごみの種類ごとに取り組みが増えた。使用済み紙おむつは、ユニ・チャームと組んで町田市の約2.5千世帯で回収を実証(2021年10月)。家庭の生ごみは、座間市と農林水産省と組み、堆肥にして地元の農家で使う「フードサイクルプロジェクト」(2022年6月、初回300世帯)。事業者のごみは「WOOMS Connect」(2023年5月)で、試行で処理費用を31%減らした。使用済みの食用油は、グループのスーパー50店と飲食店49店から集めて、国産の航空燃料(SAF)の原料にする(2025年3月)。

実務のコツ

ひとつの仕組み(収集のデジタル化)を、ごみの種類(紙おむつ・生ごみ・事業者のごみ・食用油)ごとに当てはめて広げている。新しい市場に入るたびに、まず「何を集めるか」から決めているのが読み取れる。

座間市で運搬回数が19%減り、23区へ

2024年7月の発表で、小田急電鉄は座間市の成果を数字で示した。2020年度と2023年度を比べると、収集車1台あたりの積載量は約5%増え、運搬回数は10,943回から8,911回へ2,032回(19%)減り、焼却量は約14%減った。

同じ発表で、仙台市若林区の家庭ごみ収集ルートの最適化実証に採択された。2022年には名古屋市の草木類の回収実証で中京圏にも進出している。2024年10月にはグッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受け、審査委員の評価には、すでに全国6自治体で導入されているとある。

編集部の解説

数字の読み方

「6自治体」はグッドデザイン賞の審査委員の評価に書かれた2024年10月時点の数で、小田急電鉄が自ら公表した導入数ではありません。座間市の19%減と14%減は、2020年度と2023年度の比較です。

2025年11月、練馬区と東京23区で初めての連携協定を結んだ。練馬区の粗大ごみの申し込みは1日約1,000件、収集車1台で約100か所を回る。WOOMSの新しい機能で、申し込みの情報から収集ルートを自動でつくり、これまで約3.5時間かかっていたルートづくりを約5分にする。

TIMELINE

小田急電鉄の新規事業 年表

公開情報から拾った14件(2019〜2025年)
  • 2019.03米ルビコン・グローバルと基本合意、ごみ収集の効率化技術の実証を始める米国のルビコン・グローバル社と基本合意書を結び、ごみの収集運搬を効率化する同社の技術を、国内の廃棄物事業者と一緒に試し始めた。鉄道会社が「サーキュラーエコノミー事業」に取り組む最初の発表。継続中
  • 2019.06座間市とサーキュラー・エコノミーの推進で連携協定を結ぶ小田急線が走る神奈川県座間市と、資源の循環を進めるための連携協定を結んだ。のちにWOOMSのテクノロジーを最初に使う自治体になる。継続中
  • 2020.08座間市で、ごみ収集のデジタル化の実証を始める収集場所をデジタル地図にし、収集車がどこまで回ったかをリアルタイムで見られるようにした。たまったデータで、回るルートも組み直した。継続中
  • 2021.09ウェイストマネジメント事業「WOOMS」を始動座間市での実証をもとに、ごみの収集・運搬を支える事業「WOOMS」を始めた。自治体と廃棄物の事業者に、収集を手伝うシステムと、資源循環を進める教育やプログラムを届ける。継続中
  • 2021.10ユニ・チャームと組む使用済み紙おむつのリサイクル実証が、東京都の公募に採択町田市の約2.5千世帯で、使い終わった紙おむつをWOOMSで効率よく回収し、ユニ・チャームが新しい紙おむつに再生する実証。東京都と3者で協定を結んだ。継続中
  • 2022.06座間市・農林水産省と「フードサイクルプロジェクト」を始める家庭の生ごみを堆肥にして市が回収し、地元の農家や市民農園で野菜づくりに使う。初回は300世帯、2023年度と合わせて600世帯。農林水産省の「農鉄連携」の取り組み。継続中
  • 2022.08名古屋市の草木類の回収実証に使われ、中京圏に初めて進出可燃ごみとして出されていた庭の草木を分けて集める名古屋市の実証で、WOOMSで最適なルートをつくった。小田急線の沿線から外へ出た、最初の大きな一歩。継続中
  • 2023.05ごみを出す事業者向けのサービス「WOOMS Connect」を始める年100トン以上のごみを出す事業者に、ごみの種類と量を無料で診断し、費用を下げてリサイクルを増やす計画づくりを手伝う。試行では処理費用を31%減らした。継続中
  • 2024.05横浜市と、WOOMSを使ったごみ収集の実証で協定ごみ収集車の交通事故を防ぎ、収集の仕事を効率よくするための実証で、横浜市と協定を結んだ(横浜市の発表)。継続中
  • 2024.07仙台市の家庭ごみ収集ルートの最適化実証に採択仙台市若林区で2024年8月から2025年2月まで実証。同じ発表で、座間市の運搬回数が4年で10,943回から8,911回に19%減り、焼却量が約14%減ったと公表した。継続中
  • 2024.10WOOMSが2024年度グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)グッドデザイン・ベスト100のうち20件に贈られる金賞を受けた。審査委員の評価には、すでに全国6自治体で使われているとある。継続中
  • 2025.03日揮HDなどと国産SAFの製造へ基本合意、グループの廃食用油を提供グループのスーパー50店と飲食店49店から出る使用済みの食用油を、国産の航空燃料(SAF)の原料に回す。集める量は年約8.5万リットルの見込み。継続中
  • 2025.10川崎市で、ごみの分別率を上げる実証を始める収集車の運行データから、資源ごみに他のごみがどれだけ混ざっているかを集めて分析し、分別率を上げる方法を確かめる(川崎市の発表)。継続中
  • 2025.11練馬区と、東京23区で初めて粗大ごみ収集の連携協定1日約1,000件の粗大ごみの申し込みから、WOOMSの新しい機能で収集ルートを自動でつくる。ルートづくりにかかる時間を約3.5時間から約5分にする。継続中
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この記録がどう受け取られたのかを、みんなで確かめる場所です。

NEWFOR MEMO
編集部のメモ ─ 自分が担当だったら

自分が担当だったら、この年表から持ち帰るのは「最初の1つの市で、数字が出るまで付き合う」だと思う。

座間市:協定(2019年6月)→実証(2020年8月)→事業の始動(2021年9月)→運搬回数19%減・焼却量約14%減(2020年度→2023年度)。協定から成果の数字の公表まで5年1か月。

広がった先:名古屋市(2022年8月)→仙台市(2024年7月)→横浜市(2024年5月、市の発表)→川崎市(2025年10月、市の発表)→練馬区(2025年11月、東京23区で初)。

最後に注意点。売上・利益・出資額は、どの発表にも書かれていない。導入している自治体の数も、小田急電鉄自身の発表では確認できていない(グッドデザイン賞の審査委員の評価に2024年10月時点で6自治体とある)。