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三菱地所の27件のうち、社員の提案から生まれた事業は6つ。
そのうち膝栗毛・産後ケア・GYYMの3つは、育てたあと次の会社へ渡した

27件のうち、発表に「新事業提案制度」から生まれたと書かれている事業は6つあります。そのうち3つは、育てたあとに次の会社へ渡しました。渡した先で運営を続ける予定だと、どの発表にも書かれています。

2026年10月14日じっくり読んで 約7分
記録した新規事業
27件
2020年1月のGYYMのプレローンチから、2026年6月の福岡県筑前町の蓄電所の着工まで、三菱地所の発表から拾って年表に並べた件数です
社員の提案から生まれた事業
6つ
GYYM・ぷらごる・30min.・膝栗毛・エコファニ・産後ケア。発表に「新事業提案制度」から生まれたと書かれているものだけを数えています
次の会社へ渡した事業
3つ
膝栗毛(2024年3月、アットホームHDへ)、産後ケア(2025年2月、ジョサンシーズへ)、GYYM(2025年10月、スペイシーへ)
GYYMの会員数
11万人超
2025年9月末時点。株式を渡した2025年10月の発表に書かれています。提携施設は累計1,200です
この記事はこんな方に
  • 社内の提案制度を運営している方へ。社員の提案から生まれた6つの事業が、始めてから「自社で続ける」「グループ会社へ移す」「次の会社へ渡す」のどれになったかを、1枚の年表で追えます
  • 始めた事業の「渡し方」を考えている方へ。事業譲渡(膝栗毛・産後ケア)、株式譲渡(GYYM)、グループ会社への移管(エコファニ)、会社分割(HOMETACT)と、手段のちがう5つの例が並んでいます
  • 不動産会社の新しい収益源を探している方へ。2024年から、セルフストレージと系統用蓄電所という、建物を使った新しい事業が年表に入ってきます
3行でいうと
  1. 三菱地所の年表27件のうち、社員の提案制度から生まれたと発表に書かれている事業は6つ。2020年のGYYMから、2023年の産後ケアまで、4年で6つが始まった。
  2. 6つのうち3つ(膝栗毛・産後ケア・GYYM)は、育てたあとに次の会社へ渡した。どの発表にも、渡した先で運営を続ける予定だと書かれている。エコファニは2024年にグループ会社へ移った。
  3. 2024年からは、セルフストレージ、系統用蓄電所、スタートアップのファンドなど、建物とお金を使う新事業が増えた。提案から始まった事業とは、別の流れが年表に加わっている。

三菱地所の年表27件のうち、発表に「新事業提案制度から生まれた」と書かれている事業を数えてみた。

6つ。そのうち3つは、育てたあと次の会社へ渡している。

歩き旅の「膝栗毛」はアットホームHDへ、産後ケアの「YUARITO」は助産師の会社ジョサンシーズへ、フィットネスの「GYYM」は会議室予約のスペイシーへ。3つとも、渡した先で運営を続ける予定だと発表に書かれている。

この記事は2026年10月時点の公開情報にもとづきます。内容は三菱地所株式会社のニュースリリース(カテゴリ「新事業」の26件と、2026年4月の株式会社HOMETACT設立のお知らせ)の記載です。共同リリースは、三菱地所のサイトに載っているものを使っています。「社員の提案から生まれた」は、発表にそう書かれているものだけを数えています。

始めたのは、ジム・ゴルフ・家事・歩き旅

2020年1月、三菱地所は、入会金や月会費を払わずにジムを1回ずつ使えるWEBサービス「GYYM」をプレローンチした。運営は100%子会社のGYYM株式会社で、代表取締役の2人は事業の提案者だ。発表には、提案制度に過去3年間で70件超の提案があり、GYYMを含む4件が事業化していると書かれている。

2021年には、ゴルフ練習場の予約の「ぷらごる」(6月)、30分から頼める家事代行の「30min.」(10月)、東海道の歩き旅アプリの「膝栗毛」(11月)が続いた。2022年3月には、要らなくなったオフィス家具を引き取って売る「エコファニ」が本格稼働した。どれも、ビルを建てる仕事ではない。

用語新事業提案制度しんじぎょうていあんせいど

三菱地所が2009年から行っている、社員から事業の提案やアイデアを広く集める制度。エコファニは2020年度の制度で最終審査に合格し、実証期間を経て2022年から本格展開したと発表に書かれている。

CHART

事業稼働チャート

三菱地所の新規事業のおもな流れと、その期間
スマートホーム「HOMETACT」(2021年11月開始、2026年4月に株式会社HOMETACTへ分社)2021–
家事代行「30min.」(2021年10月開始、2024年7月に東京23区へ)2021–
オフィス家具の「エコファニ」(2022年本格稼働、2024年10月から三菱地所プロパティマネジメントが運営)2022–
フィットネスの「GYYM」(2025年10月にスペイシーへ)2020–2025
歩き旅の「膝栗毛」(2024年3月にアットホームHDへ)2021–2024
産後ケア(2023年6月に試験運用、2025年2月にジョサンシーズへ)2023–2025
CVC「BRICKS FUND TOKYO」(2022年4月から)2022–
セルフストレージと系統用蓄電所(2024年から)2024–
2020202120222023202420252026
継続中役目を終えた

3つは次の会社へ、1つはグループ会社へ

2024年3月、膝栗毛の事業をアットホームHDに譲渡した。アプリのダウンロード数は9万を超えていた。発表は、アットホームの経営資源を使うことで、より大きく伸び、地域の活性化が続くと判断したと書いている。

2025年2月、産後ケアの事業をジョサンシーズに譲渡した。検証のあいだ一緒に運営してきた助産師の会社だ。発表は、専門人材や産院とのネットワークを持つジョサンシーズのサービスとして続けることが最善だと判断したと書いている。

2025年10月、GYYMの全株式をスペイシーに譲渡した。会員数は11万人を超え、提携施設は累計1,200。発表には「事業の黒字化と拡大を図り」とあり、三菱地所は同時にスペイシーの株式を買い増している。

実務のコツ

渡し方は1つではない。膝栗毛と産後ケアは「事業譲渡」、GYYMは「株式譲渡」、エコファニはグループ会社への「運営の移管」、HOMETACTは「会社分割」。2024年3月から2026年4月までの約2年で、5つの事業が4通りの形で次の担い手へ移っている。

編集部の解説

数字の読み方

「6つ」は、発表に新事業提案制度(社内ベンチャー制度)から生まれたと書かれている事業の数です。スマートホームの「HOMETACT」は「住宅事業グループの新規事業」と書かれているため、6つには入れていません。年表にない事業が制度から生まれている可能性もあります。

エコファニとHOMETACTは、三菱地所グループの中で大きくした

エコファニは、本格稼働から2か月で拠点を約150坪から約600坪へ広げ、2023年には池袋に2つめの拠点を開いた。2024年10月からは、ビルの運営・管理を担う三菱地所プロパティマネジメントが運営している。ビルの管理と一緒にテナントに提案するためだと発表にある。

2026年4月、スマートホームの「HOMETACT」の事業を会社分割で株式会社HOMETACTに移した。2021年11月に始め、連携メーカーは30社、導入は全国44都道府県の200社に広がっている。発表は、専門人材の確保や、意思決定を速くするために分社したと書いている。

2024年から、建物とお金を使う新事業が増えた

2024年9月、パルマとセルフストレージの共同開発を決め、10月にはスタートアップスタジオ併設型のファンドにアンカー投資家として加わった。同じ9月には系統用蓄電所のファンドに出資し、2026年6月には福岡県筑前町で67MW・230MWhの蓄電所の建設を始めた。

提案から始まった小さなサービスとは、別の流れだ。土地を取得して建物を建て、運営は専門の会社に任せる。2026年4月の発表は、屋内型セルフストレージを年間2〜3棟ずつ開発すると書いている。

TIMELINE

三菱地所の新規事業 年表

公開情報から拾った27件(2020〜2026年)
  • 2020.01フィットネス施設を都度利用できるWEBサービス「GYYM」をプレローンチ入会金や月会費を払わずに、いろいろなジムやスタジオを1回ずつ予約して使えるサービス。1都3県の59施設から始めた。運営は100%子会社のGYYM株式会社で、社員の提案から生まれた事業だと発表に書かれている。継続中
  • 2021.02ワークスペースのマッチング支援サービス「NINJA SPACE」を開始三菱地所プロパティマネジメントと、飲食店や会議室、ホテルの空いている席と、働く場所を探す人をアプリでつなぐサービスを始めた。丸の内エリアを中心に、早めに1,000席をそろえることを目指した。継続中
  • 2021.06ゴルフ練習場の予約・決済サービス「PLATTO GOLF(ぷらごる)」をプレローンチ練習場の検索、打席とレンタルクラブの予約、支払いまでをスマホで済ませるサービス。大田区と足立区の2つの練習場から始めた。社員の提案から生まれた事業だと発表に書かれている。継続中
  • 2021.1030分単位で頼める定期家事代行サービス「30min.」を開始同じマンションや地域で頼む曜日と時間をまとめ、スタッフが巡回することで、30分から頼めるようにした家事代行。都心5区の対象物件から始めた。2019年度の社員の提案から生まれた事業だと発表に書かれている。継続中
  • 2021.11歩き旅コンテンツサービス「膝栗毛」を始め、新会社を設立東海道を歩きながら、地域の歴史や物語を音声ガイドやマガジンで楽しむアプリのサービス。100%子会社の株式会社膝栗毛(資本金2億円)を設け、JTBコミュニケーションデザインと共同で始めた。社員の提案から生まれた事業。継続中
  • 2022.03オフィス家具の引取・販売サービス「エコファニ」を本格稼働レイアウト変更などで要らなくなったオフィス家具を企業から引き取り、検品と清掃をして、法人や個人に売る。大手町のビルの地下に約150坪のショールーム兼倉庫を構えた。2009年から続く社員の提案制度から生まれたサービス。継続中
  • 2022.05エコファニのショールーム兼倉庫を有楽町ビルの約600坪へ広げる本格稼働から2か月で、拠点を約150坪から有楽町ビル9階の約600坪へ移した。運営はコーユーレンティアが担い、椅子や机を常時約2,000〜3,000点並べる。継続中
  • 2023.04スマートホームサービス「HOMETACT」で、つなぐネットと販売店契約照明やエアコン、カーテンなど複数のメーカーの機器を1つのアプリで動かす「HOMETACT」を、マンションのインターネットと一緒に提案してもらう契約を結んだ。2021年11月に始め、自社グループの賃貸マンション4物件に入っていた。継続中
  • 2023.04HOMETACTで鳥取ガス・鳥取ガス産業と販売店契約、初めてのガス会社との提携鳥取県と島根県の出雲地方から東の地域で、鳥取ガス・鳥取ガス産業がHOMETACTを独占して売る。HOMETACTとして初めてのガス会社との販売提携。継続中
  • 2023.05エコファニの2つめの拠点「池袋Base」を開き、出張型の体験イベントも始めるサンシャインシティ アネックスに約1,381㎡の拠点を開いた。商業施設などに出向いてオフィス家具を試せるイベント「エコファニGO」と、エコファニの家具で空きスペースを貸会議室にするサービスも始めた。継続中
  • 2023.06ホテルに泊まる形の産後ケアサービスを試験運用で始めるロイヤルパークホテルで、助産師などが赤ちゃんを別室で預かり、母親が眠って休めるサービスを試した。発表は、大手デベロッパーが自ら事業として行うのは初めて(同社調べ)と書いている。子どもが生まれたあとの暮らしを経験した社員3名の提案から生まれた。継続中
  • 2023.06自動運転トラックのT2と資本業務提携、12.5億円の増資を引き受けるレベル4の自動運転トラックで幹線輸送を目指すT2が行った12.5億円の第三者割当増資を引き受けた。京都府城陽市で開発中の、高速道路のインターチェンジに直結する物流施設と組み合わせる。継続中
  • 2023.11事業創造コミュニティ「SAAI」を新東京ビルに移してグランドオープン2020年2月に有楽町で開いた、個人のアイデアを形にするためのワーキングコミュニティを、新東京ビルに移した。会員は300人強。運営はゼロワンブースター。継続中
  • 2024.03歩き旅の「膝栗毛」事業をアットホームHDへ渡す2021年に始めた「膝栗毛」の事業を、3月31日付でアットホームホールディングスに譲渡した。アプリのダウンロード数は9万を超えていた。アットホームグループの新しい体制で運営が続く予定と発表に書かれている。継続中
  • 2024.05産後ケアサービスを「YUARITO」として始める2023年の試験運用(27組が利用)を経て、ロイヤルパークホテルの6室で、助産師・看護師・保育士が24時間体制で支える産後ケアを始めた。料金は1泊75,000円から。継続中
  • 2024.05CVC「BRICKS FUND TOKYO」、2年で新規投資15件2022年4月にプライムパートナーズと始めたCVCファンドが、新規投資15件と追加投資3件を行ったと発表した。5年で100億円程度を出資する想定で、生成AIや気候変動の領域への投資を増やす。継続中
  • 2024.05「TMIP Innovation Award」の受賞事業と共創プロジェクトを始める丸の内の大企業とスタートアップをつなぐTMIPが表彰した5つの事業のうち、京セラ・関西電力発・富士通の3つの事業と、丸の内で一緒にプロジェクトを始めた。継続中
  • 2024.07家事代行「30min.」を東京23区に広げ、整理収納代行も始める対象を東京23区全域に広げ、戸建てや事務所でも頼めるようにした。始めてから延べ25,000名に提供したと発表に書かれている。CVCの出資先のmatsuri technologiesと、スタッフを融通し合う提携も結んだ。継続中
  • 2024.09エコファニの運営を三菱地所プロパティマネジメントへ移すビルの運営・管理を担うグループ会社が、2024年10月からエコファニを運営する。ビルの管理と一緒に提案するためと発表にある。三菱地所グループの延べ22社が使っていた。継続中
  • 2024.09パルマと屋内型セルフストレージを共同開発、三菱地所として初トランクルームなどのレンタル収納の会社パルマと、東京都大田区池上に約200室の屋内型セルフストレージを開発すると決め、用地を共同で取得した。三菱地所として初めてのセルフストレージ開発。継続中
  • 2024.09日本初の系統用蓄電所ファンド「東京都蓄電所投資事業有限責任組合」に出資電気をためて、足りない時間帯に送る「系統用蓄電所」だけに投資する、東京都の官民連携ファンドに出資した。ファンドの規模は80億円超で、伊藤忠商事とGore Street Capitalが組成した。継続中
  • 2024.10スタートアップスタジオ併設型ファンド「Co-Founder Fund」にアンカー投資家として参画起業する前の人や、できたばかりの会社に投資し、事業づくりも一緒に行うファンドに大口の出資者として加わった。ファンドの規模は20〜40億円の予定。三菱地所の事業の課題から、新しい事業を共同で立ち上げることを目指す。継続中
  • 2025.02産後ケア事業をジョサンシーズへ渡す宿泊型の「YUARITO」と日帰り型の「YUARITO DAY」を、2月3日付で、検証のあいだ一緒に運営してきた助産師の会社ジョサンシーズに譲渡した。日本橋浜町の日帰り型は、2025年4月からジョサンシーズの事業として開く予定と発表にある。継続中
  • 2025.10GYYMの全株式をスペイシーへ渡す、会員数は11万人を突破2020年に始めたGYYMの会社の全株式を、会議室などの予約サービスを運営するスペイシーに10月1日付で譲渡した。会員数は11万人を超え、提携施設は累計1,200。三菱地所は同時にスペイシーの株式を買い増した。継続中
  • 2026.04スマートホーム事業を分社し、株式会社HOMETACTが事業を始める2021年に始めたHOMETACTの事業を会社分割で新会社に移し、4月1日から新会社で事業を始めた。連携メーカーは30社、導入は全国44都道府県の200社に広がっている。継続中
  • 2026.04屋内型セルフストレージの第1号「キーピット池上・久が原」を開業パルマと共同開発した地上7階建て・全203室の施設を3月19日に開いた。今後は都心5区を中心とした首都圏で、年に2〜3棟ずつ開発すると発表に書かれている。継続中
  • 2026.06福岡県筑前町で67MW・230MWhの系統用蓄電所の建設に着手三菱地所が開発の取りまとめ役になり、伊藤忠商事・東京センチュリーと、福岡県筑前町に系統用蓄電所を建て始めた。運転開始は2028年1月の予定。継続中
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NEWFOR MEMO
編集部のメモ ─ 自分が担当だったら

自分が担当だったら、この年表から持ち帰るのは「始めた会社が最後まで持つ必要はない」だと思う。

提案から生まれた6つの今(発表時点):GYYM→スペイシーへ(2025年10月)/膝栗毛→アットホームHDへ(2024年3月)/産後ケア→ジョサンシーズへ(2025年2月)/エコファニ→三菱地所プロパティマネジメントが運営(2024年10月から)/30min.→東京23区に拡大(2024年7月)/ぷらごる→2021年6月のプレローンチのあとの発表は、カテゴリ「新事業」には出てこない。

始めてから渡すまで:膝栗毛は2年4か月、産後ケアは1年8か月(2023年6月の試験運用から)、GYYMは5年9か月(2020年1月のプレローンチから)。

最後に注意点。3つの譲渡は、どれも金額が書かれていない。T2への出資(12.5億円の増資の引き受け)以外は、ファンドへの出資額、セルフストレージの用地の取得額、蓄電所の事業費も、発表に書かれていない。