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MS&ADの19件のうち、16件は海外。
英国では2017年にReAssureの5.0%から入り、株式交換でPhoenixへ移り、2026年には名前を変えたStandard Lifeの共同事業に最大2億ポンドを出す

19件を中身で分けると、海外の保険会社への出資と比率の引き上げ11件、米国のインシュアテック2件、資産運用2件、国内の3件、次へ渡したもの1件になります。英国・スリランカ・豪州・インドネシア・ミャンマー・インド・米国と、相手は7つの国に広がっています。

Soichiro2026年10月8日じっくり読んで 約8分
記録した新規事業
19件
2017年10月の英ReAssureへの出資の発表から、2026年8月の英Standard Lifeの共同事業への出資まで、MS&ADホールディングスの発表から拾って年表に並べた件数です
海外の会社が相手
16件
英国・スリランカ・豪州・インドネシア・ミャンマー・インド・米国の7か国。国内は日本共創プラットフォーム、三井ダイレクト損保、MS&AD AXの3件です
Baringsの持分18%
1,440百万米ドル
2025年11月17日に合意し、2026年5月14日に取得を完了。三井住友海上が米MassMutualから取得しました
Challengerを渡した金額
800億円
2025年4月7日に発表した、豪Challengerの全株式(15.1%)の売却金額。2025年8月1日に完了しました
この記事はこんな方に
  • 海外の会社への出資を担当する方へ。ReAssure(5.0%→約13.2%→25%)、セリンコ(15%へ)、シナールマスMSIG生命(80%へ)と、比率を段階的に上げていった順番が、MS&AD自身の発表で並んでいます
  • 株式交換やグループ再編を考える方へ。ReAssureの25%をPhoenixの14.5%に、マックス生命の株式を親会社MFSの新株に。現金を動かさずに持ち方を変えた2つの例を追えます
  • 資産運用やAIの新会社を考える方へ。米国でLGTと作ったMSR Capital Partners(85%)、Baringsの18%(1,440百万米ドル)、エクサウィザーズとのMS&AD AXまで、保険の外側に作った会社の形が見られます
3行でいうと
  1. MS&ADホールディングスの年表19件を中身で分けると、海外の保険会社への出資と比率の引き上げ11件、米国のインシュアテック2件、資産運用2件、国内の3件、次へ渡したもの1件になる。
  2. 英国では、2017年10月にReAssureの5.0%(175百万ポンド)を取得すると決め、2018年1月に約13.2%、2019年2月に25%へ。2020年7月にその25%をPhoenixの新株14.5%と交換し、2026年8月には、Phoenixから名前を変えたStandard Lifeの共同事業に2億ポンド(約430億円)を上限に出資すると決めた。
  3. アジアでは比率を上げていった。セリンコは2018年に15%、シナールマスMSIG生命は2019年に80%。豪Challengerは2019年に15%超を取得し、2025年に全株式を800億円で第一生命グループへ渡した。

MS&ADホールディングスの年表19件を、中身で分けてみた。

海外の保険会社への出資と比率の引き上げ11件、米国のインシュアテック2件、資産運用2件、国内の3件、次へ渡したもの1件。

19件のうち16件は、海外の会社が相手だ。英国、スリランカ、豪州、インドネシア、ミャンマー、インド、米国。7つの国に広がっている。

この記事は2026年10月時点の公開情報にもとづきます。数値はMS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社のニュースリリースの公表値です。子会社の三井住友海上が当事者の案件も、MS&ADホールディングスの発表に載っているものを拾っています。公表値が確認できないものは、その旨を書いています。

英国の1本の縁を、8年つないだ

2017年10月、英国の生命保険のクローズドブック事業の持株会社ReAssureの株式5.0%を、175百万ポンド(約263億円)で取得すると決めた。2018年1月には増資の引受(330百万ポンド)も終え、持分は約13.2%になった。2019年2月の追加出資で25%に上がっている。

用語クローズドブック事業クローズドブックじぎょう

新しい契約は取らず、ほかの保険会社がもう新規で売っていない契約をまとめて引き取り、管理していく生命保険の事業。たとえるなら、閉店した本屋の在庫を引き取って、最後まで読者に届ける仕事です。

2020年7月、英PhoenixがReAssureを買うのにあわせ、ReAssureの25%をすべて渡し、その対価としてPhoenixの新株14.5%を受け取った。現金のやりとりはない。

2026年8月、Phoenixから名前を変えたStandard Lifeが作る、企業年金のリスクを引き受ける共同事業に、2億ポンド(約430億円)を上限に出資すると決めた。2017年の5.0%から数えて、同じ縁を8年つないでいる。

CHART

事業稼働チャート

MS&ADホールディングスが2017年以降に記録した主な動きと、その期間
ReAssure→Phoenix→Standard Life(英国の生命保険)2017–
セリンコ・インシュアランス(スリランカ)2018–
Challenger(豪州の生命保険・ファンド)2019–2025
シナールマスMSIG生命(インドネシア)2019–
IKBZ Insurance(ミャンマー)2019–
マックス生命・MFS(インド)2019–
Hippo(米国のインシュアテック)2020–
Next Insurance(米国のインシュアテック)2021–
日本共創プラットフォーム(地方創生)2021–
MSR Capital Partners(米国の資産運用)2021–
三井ダイレクト損保(100%子会社)2022–
Barings(米国の資産運用)2025–
W.R. Berkley(米国の損害保険)2026–
MS&AD AX(エクサウィザーズとの合弁)2026–
2017201820192020202120222023202420252026
継続中役目を終えた

アジアでは、比率を上げていった

2018年8月、三井住友海上がスリランカ最大手の保険グループ、セリンコの株式9%を約23億円で追加取得し、出資比率を15%にした。2019年7月にはインドネシアのシナールマスMSIG生命の30%を約290億円で追加取得し、80%にした。

インドでは、上場していないマックス生命の株式を、上場している親会社MFSの新株と交換すると2019年8月に決めた。いったん止めた取引を2020年3月に再開し、最終合意している。

実務のコツ

比率を上げる、株を交換する、まとめて渡す。新しい会社を作らなくても、持ち方を変えること自体が「次の一手」になっている。

渡して、入れ直した

豪Challengerには2019年に15%超を取得すると決め、2025年4月に全株式(15.1%)を800億円で第一生命グループへ渡すと発表した。同じ年の11月、米国の資産運用会社Baringsの持分18%を1,440百万米ドルで取得すると決め、2026年3月には米W.R. Berkleyの15%の取得を終えた。

TIMELINE

MS&ADホールディングスの新規事業 年表

公開情報から拾った19件(2017〜2026年)
  • 2017.10英ReAssureの株式5.0%を取得へ英国の生命保険のクローズドブック事業の持株会社ReAssureの発行済株式5.0%を175百万ポンド(約263億円)で取得すると、スイス再保険と合意した。今後3年間で8億ポンドを上限に、持分を15%まで引き上げる。継続中
  • 2018.01ReAssureへの出資を完了し持分約13.2%に発行済株式の取得(175百万ポンド)と、第三者割当増資の引受(330百万ポンド、約495億円)を2018年1月23日に終え、ReAssureの持分は約13.2%になった。継続中
  • 2018.08スリランカのセリンコの出資比率を15%に三井住友海上が、スリランカ最大手の保険グループの持株会社セリンコ・インシュアランスの株式9%を約30億ルピー(約23億円)で追加取得し、出資比率を15%に引き上げた。累計投資額は約40億円。継続中
  • 2019.03豪Challengerとの提携を強め、15%超を取得へ豪州の金融サービス会社Challengerの発行済株式の15%超を、今後4か月を目途に取得すると合意した。三井住友海上プライマリー生命との再保険の提携も広げ、少なくとも5年、年間500億円の出再を続ける。継続中
  • 2019.07インドネシアのシナールマスMSIG生命を80%に三井住友海上が、シナールマスMSIG生命の普通株式30%を約3.8兆ルピア(約290億円)で追加取得し、出資比率を80%に引き上げた。同社は同じ日にインドネシア証券取引所に上場した。継続中
  • 2019.08ミャンマーのIKBZ Insuranceに10%出資へ三井住友海上が、ミャンマーの大手民間損害保険会社IKBZ Insuranceに10%を出資する申請が、7月31日付で当局の審査を通った。保険分野の外資開放で、初めて民間の保険会社に出資できるようになった。継続中
  • 2019.08インドのマックス生命の株式を親会社の株式と交換へ三井住友海上が、インドのマックス生命の株式25.22%のうち19.98%を親会社MFSの新株21.43%と交換し、残り5.24%をMFSに売ると基本合意した。上場している持株会社への出資に切り替える。継続中
  • 2020.03マックス生命とMFSの株式交換を再開し最終合意いったん止めていたマックス生命とMFSの株式交換を再開し、最終合意書を結んだ。マックス生命の株式20.57%をMFSの新株21.87%と交換し、残りをMFSに売る。継続中
  • 2020.07ReAssureの25%を英Phoenixの14.5%と交換英Phoenixによる英ReAssureの買収にあわせ、持っていたReAssureの株式25%をすべて渡し、その対価としてPhoenixの新株144,877,304株(発行済株式の14.5%)を受け取った。現金のやりとりはない。継続中
  • 2020.11米Hippoに資本参加し再保険で提携三井住友海上が、ホームオーナーズ保険の米インシュアテックHippo Enterprisesに資本参加し、Hippoが扱う保険の再保険契約を結ぶ戦略提携に合意した。2020年7月にはCVCのMS&AD Venturesが先に出資していた。継続中
  • 2021.07米NEXT Insuranceに出資三井住友海上が、小規模事業者向けの保険をオンラインで提供する米インシュアテックNext Insuranceに出資した。2020年9月にはMS&AD Venturesが先に出資していた。継続中
  • 2021.10地方創生の日本共創プラットフォームに出資地域企業への投資と経営支援をする日本共創プラットフォーム(JPiX、代表 冨山和彦)に出資した。投資先の企業と組み、グループの商品やサービスで地域社会の活性化を目指す。継続中
  • 2021.11米国で資産運用子会社MSR Capital Partnersを設立へ三井住友海上が、スイスの資産運用会社LGT Capital Partnersと共同で、プライベートエクイティ投資を中心に米国の外国資産を運用するMSR Capital Partnersをニューヨークに設立すると発表した。三井住友海上85%、LGT15%。継続中
  • 2022.06三井ダイレクト損保を100%子会社にネット中心のダイレクト型損害保険会社・三井ダイレクト損保の、ほかの株主の株式を買い取り、持株比率を89.7%から100%にした。グループの先進的な取り組みを試すパイロットの役割を担う。継続中
  • 2025.04豪Challengerの全株式を800億円で渡すと決定持っていた豪Challengerの全株式(発行済株式の15.1%、104,353,125株)を、第一生命ホールディングスの豪州子会社TAL Dai-ichi Life Australiaへ800億円で渡すと発表した。2025年8月1日に完了した。役目を終えた
  • 2025.11米Baringsの持分18%を1,440百万米ドルで取得へ三井住友海上が、米MassMutualの100%子会社で資産運用会社のBaringsの持分18%を、MassMutualから1,440百万米ドルで取得すると合意した。2026年5月14日に取得を完了し、取締役を1名送った。継続中
  • 2026.03米W.R. Berkleyへの15%出資を完了三井住友海上が、米損害保険会社W.R. Berkleyの発行済普通株式15%の取得を完了した。株式はすべて市場で取得した。2025年3月に創業家と結んだ協力関係の協定にもとづき、取締役を1名送る。継続中
  • 2026.05エクサウィザーズとAXの合弁会社を設立へエクサウィザーズと、AIで保険の仕事を変える合弁会社「MS&AD AX」を2026年6月1日に設立すると発表した。2029年度に向けて、AIエンジニア150名の育成・獲得を目指す。継続中
  • 2026.08英Standard Lifeの年金リスク移転の共同事業に出資へ出資先の英Standard Lifeが設立する、企業年金のリスクを引き受ける共同事業(PRT)に、2億ポンド(約430億円)を上限に出資すると決めた。2027年上半期を目途に事業を始める予定。継続中

英国の縁は、ReAssureからPhoenix、そしてStandard Lifeへ。相手の名前が変わっても、つながりは切れていない

新規事業マニアの解説

ここまでを、ひとつにまとめると

MS&ADホールディングスの19件のうち16件は海外です。英国では、2017年のReAssureの5.0%から、株式交換でPhoenixの14.5%へ移り、2026年には名前を変えたStandard Lifeの共同事業に最大2億ポンドを出すと決めました。アジアでは比率を上げ、豪州では渡して、米国の資産運用と損害保険に入れ直しています。

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NEWFOR MEMO
新規事業マニアのメモ ─ 自分が担当だったら

自分が担当だったら、この年表から持ち帰るのは「縁を切らずに、持ち方を変えていく」だと思う。

英国の流れ:ReAssure 5.0%(2017年10月、175百万ポンド)→約13.2%(2018年1月、増資の引受330百万ポンド)→25%(2019年2月)→Phoenixの14.5%と交換(2020年7月)→Standard Lifeの共同事業に上限2億ポンド(2026年8月)。

比率を上げた出資:セリンコ 15%(2018年8月、約23億円の追加)→シナールマスMSIG生命 80%(2019年7月、約290億円の追加)→三井ダイレクト損保 89.7%→100%(2022年6月)。

最後に注意点。Challengerの15%超の取得(2019年)、IKBZの10%、Hippo、NEXT Insurance、日本共創プラットフォーム、W.R. Berkleyの15%は、取得金額の記載がない。MS&AD AXの出資比率と資本金も書かれていない。Standard Lifeの「約430億円」は出資額の上限で、新しい契約の引受に応じて段階的に出す。

Soichiro新規事業マニア
40代 / 事業開発
新規事業マニア。20代でスタートアップを立ち上げ、1社を上場企業へ売却。その後、外資系コンサルティングファーム、通信大手、大手人材グループ、国内大手ITサービスの中で、社員として新規事業の立ち上げに携わる。並行して顧問として10社近くの新規事業を担当。事業立ち上げ歴20年。名前は、本田宗一郎への敬意から。
20年 事業立ち上げ歴1社 上場企業へ売却4社 事業会社の中で立ち上げ10社 顧問として担当