NEWFOR
NEWFOR / 記事一覧 / #052 SOMPO HD

SOMPO HDの28件のうち、12件は出資と資本業務提携。
ティアフォーに2回で約198億円、RIZAPに200億円を入れ、2025年にはAspenを約5,195億円で買うと決めた

28件を中身で分けると、出資と資本業務提携12件、海外の保険会社の買収5件、自分で立ち上げた会社と子会社化5件、業務提携3件、次へ渡したもの3件になります。出資の相手は、自動運転・駐車場・データ分析・スポーツクラブ・ロボット・終活と、保険の外に広がっています。

Soichiro2026年10月7日じっくり読んで 約8分
記録した新規事業
28件
2019年2月のDeNAとの合弁会社2社の設立発表から、2026年7月のブラジルFator Seguradoraの買収契約まで、SOMPOホールディングスの発表から拾って年表に並べた件数です
出資と資本業務提携
12件
2019年10月のakippa(約33.4%)から、2026年4月の英Zegoまで。金額か比率のどちらかが書かれているのは9件です
ティアフォーへの出資
約198億円
2020年8月の約98億円と、2022年7月の100億円の合計。どちらもSOMPOホールディングスの発表です
Aspenの買収金額
約5,195億円
2025年8月27日の発表。普通株式の取得価額は約34.8億米ドル。2026年2月24日に買収を完了しました
この記事はこんな方に
  • スタートアップへの出資を担当する方へ。ティアフォー(約98億円+100億円)、Cover Genius(約55億円)、ABEJA(21.9%)など、金額や比率まで書かれた出資が、SOMPO自身の発表で並んでいます
  • 健康・介護の事業を考える方へ。ルネサンス、GROOVE X、エヌ・デーソフトウェア、RIZAP、鎌倉新書と、保険の外の「健康と暮らし」の会社と組んだ順番を追えます
  • 海外の買収を担当する方へ。米国の農業保険から始まり、イタリアの農業保険、Aspen、米国の労災保険、ブラジルの企業向け保険まで、5件の買収が1枚の年表で見られます
3行でいうと
  1. SOMPOホールディングスの年表28件を中身で分けると、出資と資本業務提携12件、海外の保険会社の買収5件、自分で立ち上げた会社と子会社化5件、業務提携3件、次へ渡したもの3件になる。
  2. 出資の相手は保険の外に広がる。自動運転のティアフォーには2020年に約98億円、2022年に100億円。データ分析のPalantirに500百万米ドル、スポーツクラブのルネサンスに7.5%、RIZAPグループに200億円、終活の鎌倉新書に10%。
  3. 海外では、2020年の米国の農業保険から、2025年8月のAspen(約34.8億米ドル=約5,195億円)、2026年7月の米国の労災保険とブラジルの企業向け保険まで、5件の買収を発表した。

SOMPOホールディングスの年表28件を、中身で分けてみた。

出資と資本業務提携12件、海外の保険会社の買収5件、自分で立ち上げた会社と子会社化5件、業務提携3件、次へ渡したもの3件。

いちばん多いのは出資だ。しかも、相手の多くは保険会社ではない。自動運転、駐車場、データ分析、スポーツクラブ、ロボット、終活。

この記事は2026年10月時点の公開情報にもとづきます。数値はSOMPOホールディングス株式会社のニュースリリースの公表値です。公表値が確認できないものは、その旨を書いています。年表は2019年2月以降の発表から拾っています。

同じ会社に、2回入れた

2020年8月、自動運転のソフトウェアを開発するティアフォーに約98億円を出資した。「自動運転プラットフォーム」を一緒に開発・展開するという資本提携だ。

2022年7月、同じティアフォーに100億円を追加で出した。2回を足すと約198億円になる。どちらの発表にも、出資比率は書かれていない。

用語資本業務提携しほんぎょうむていけい

お金を出して株を持つ「資本提携」と、仕事を一緒にする「業務提携」を同時に結ぶこと。株を持つので、ただの業務提携より関係が深くなります。

CHART

事業稼働チャート

SOMPOホールディングスが2019年以降に記録した主な動きと、その期間
DeNA SOMPO Carlife(マイカーリース)2019–2025
akippa(駐車場シェア)2019–
Palantir(データ分析)2020–
ティアフォー(自動運転)2020–
Diversified(米国の農業保険)2020–
SOMPO Light Vortex(デジタル子会社)2021–
ARA 1857(イタリアの農業保険)2021–
エヌ・デーソフトウェア(介護のソフト)2022–
ブラジルのコンシューマー事業2019–2023
RIZAPグループ(健康)2024–
Aspen(米英バミューダの保険)2025–
農業総合研究所(農産物の流通)2025–
ReFact(リフォームの合弁)2026–
20192020202120222023202420252026
継続中役目を終えた

保険の外の「健康と暮らし」へ

2020年7月にスポーツクラブのルネサンスの株式7.5%を取得し、12月には家族型ロボット「LOVOT」のGROOVE Xと資本業務提携した。2022年12月には介護のソフトウェアのエヌ・デーソフトウェアを100%子会社にすると決めた。

2024年6月にはRIZAPグループと資本業務提携し、200億円を出した。RIZAPグループの株式4.87%と、RIZAP株式会社の23%を持つ。2025年12月には終活の鎌倉新書の10%を持った。

実務のコツ

スポーツクラブ、ロボット、介護のソフト、健康づくり、終活。どれも「保険金を払う前」と「払ったあと」の暮らしに近い会社だ。

海外は、農業保険から始まった

海外の買収5件のうち、最初の2件は農業保険だった。2020年9月に米国48州で制度農業保険を提供するDiversified、2021年9月にイタリアの農業保険会社ARA 1857を買うと発表した。

2025年8月、米国・英国・バミューダで元受保険と再保険を営むAspenの普通株式を、約34.8億米ドル(約5,195億円)で100%取得すると発表した。2026年2月24日に完了している。2026年7月には米国の労災保険とブラジルの企業向け保険の買収を続けて発表した。

TIMELINE

SOMPOホールディングスの新規事業 年表

公開情報から拾った28件(2019〜2026年)
  • 2019.02DeNAとカーシェア・カーリースの合弁会社2社を設立DeNAと、個人間カーシェアの「DeNA SOMPO Mobility」と、マイカーリースの「DeNA SOMPO Carlife」の合弁会社2社を2019年3月に設立すると発表した。継続中
  • 2019.10akippaの株式約33.4%を取得し関連会社に駐車場の利用者と空いている駐車場のオーナーをつなぐakippaの株式約33.4%を10月1日付で取得し、関連会社にした。駐車場シェアリングの事業に新しく入った。継続中
  • 2020.06米Palantirに500百万米ドルを出資データ分析のソフトウェアを提供する米Palantir Technologiesに500百万米ドルを出資した。2019年11月に設立したPalantir Technologies Japanを通じ、日本でのデータ活用の基盤づくりを進める。継続中
  • 2020.07ルネサンスの株式7.5%を取得スポーツクラブのルネサンスが行う第三者割当の自己株式処分を引き受け、1,603,500株(持株比率7.5%、議決権比率8.49%)を取得すると発表した。健康寿命を延ばす取り組みを一緒に進める。継続中
  • 2020.08ティアフォーに約98億円を出資自動運転のソフトウェアを開発するティアフォーに約98億円を出資し、資本提携した。自動運転を社会で使えるようにする「自動運転プラットフォーム」を一緒に開発・展開する。継続中
  • 2020.09米Diversified Crop Insurance Servicesを買収子会社のSOMPOインターナショナルが、米国48州で制度農業保険を提供するDiversified Crop Insurance ServicesをCGB Enterprisesから買収すると合意した。同社の2019年の取扱保険料は1,084百万ドル(約1,142億円)。継続中
  • 2020.12GROOVE Xと資本業務提携家族型ロボット「LOVOT」を開発するGROOVE Xの第三者割当増資の一部を引き受け、業務提携の基本合意を結んだ。高齢者の見まもりや、認知症の方のケアでのLOVOTの効果を確かめる。継続中
  • 2021.04ABEJAと資本業務提携(21.9%)AIのABEJAと資本業務提携した。出資比率は21.9%。データの基盤づくり、グループのデジタル化、AIの活用、デジタル人材の育成を一緒に進める。継続中
  • 2021.06デジタル子会社SOMPO Light Vortexを設立デジタル技術を使った商品・サービスの企画・開発・販売をする新会社「SOMPO Light Vortex」を、資本金100億円・100%出資で2021年7月に設立すると発表した。継続中
  • 2021.06英Wejoへ戦略投資5,000万台以上のコネクテッドカーから集めた移動データを分析して提供する英国のWejoに戦略投資した。Palantirと3社で、移動の分野の新しいサービスと保険を開発する。継続中
  • 2021.09伊ARA 1857を買収子会社のSOMPOインターナショナルが、ひょう・強風・霜・豪雨・干ばつなど天候による損失を補償するイタリアの農業保険会社ARA 1857を買収すると発表した。完了は2022年1-3月期の予定。継続中
  • 2021.09Cover Geniusへ約55億円を出資子会社のSompo Holdings (Asia)が、世界のEC企業と組んで顧客に合わせた保険を届けるインシュアテック企業Cover Geniusに約55億円を出資した。継続中
  • 2021.12米Deelと戦略的パートナーシップ世界中から人材を採用する企業に雇用・給与支払いの仕組みを提供する米Deelと、戦略的パートナーシップを結んだ。Deelのサービスの上で保険やデジタル商品を届ける検討を始める。継続中
  • 2022.07ティアフォーへ100億円を追加出資2020年に約98億円を出資したティアフォーに、100億円を追加で出資した。自動運転の技術開発を速め、省エネによる脱炭素にもつなげる。継続中
  • 2022.12エヌ・デーソフトウェアを100%子会社に福祉・医療のソフトウェアを開発・販売するエヌ・デーソフトウェアの株式を取得し、子会社にすると発表した。2023年2月28日に完全子会社化した。介護のデータ連携を進める。継続中
  • 2023.08ブラジルのコンシューマー事業を次へ渡すブラジルの保険子会社Sompo Segurosのコンシューマー事業を、独Talanxグループのブラジル保険子会社HDI Segurosへ渡す手続きを、2023年8月24日に完了した。役目を終えた
  • 2024.06RIZAPグループに200億円を出資RIZAPグループと資本業務提携し、第三者割当で200億円を出資した。RIZAPグループの株式4.87%と、RIZAP株式会社の23%を持つ。健康づくりのサービスとデータを組み合わせる。継続中
  • 2024.06フレッシュハウスを次へ渡す子会社のフレッシュハウスの株式100%を、アークホームへ渡すと発表した。実行日は2024年7月1日の予定。役目を終えた
  • 2024.10ジャパンベストレスキューシステムと業務提携暮らしのトラブル対応のジャパンベストレスキューシステムと業務提携した。損保ジャパンを中心に、集合住宅向け・学生向けのサービスを届け、新しい商品を一緒につくる。継続中
  • 2025.03DeNA SOMPO Carlifeをオリコの子会社にカーリース「SOMPOで乗ーる」を運営するDeNA SOMPO Carlifeの株式90%をオリエントコーポレーションが取得し、オリコの子会社になると発表した。役目を終えた
  • 2025.08英米のAspenを約5,195億円で買収へ米国・英国・バミューダで元受保険と再保険を手がけるAspen Insurance Holdingsの普通株式を、約34.8億米ドル(約5,195億円)で100%取得すると発表した。2026年2月24日に買収を完了した。継続中
  • 2025.12鎌倉新書の10%を取得し資本業務提携終活のポータルサイトを運営する鎌倉新書と資本業務提携し、発行済株式の10%を持つ。生前から亡くなったあとまでを支える「終活のインフラ」をつくる。継続中
  • 2025.12農業総合研究所へTOB(1株767円)子会社のSOMPO Light Vortexが、農家の直売所事業の農業総合研究所に1株767円で公開買付けを始めると発表した。2026年2月の結果発表で、所有割合は76.68%になった。継続中
  • 2026.04英Zegoと戦略的パートナーシップテレマティクス技術を使った自動車保険を提供する英国のZegoと、日本向けのデジタル保険を開発する業務提携を結び、出資もした。継続中
  • 2026.05独DRS Groupと戦略的パートナーシップひょうで傷んだ車をPDR技術で直すドイツのDRS Groupと、日本でひょう災害のときに車を早く直す体制をつくる戦略的パートナーシップを結んだ。継続中
  • 2026.06Speeeと合弁会社ReFactを設立へリフォームの領域のSpeeeと、合弁会社「ReFact(リファクト)」をつくる最終契約を結んだ。出資はSpeee60.7%・SOMPO HD39.3%、資本金は1,006百万円。災害のときに修理業者を紹介する。継続中
  • 2026.07米Service Insurance Companiesの買収に合意子会社のSOMPOインターナショナルが、米国で労災保険を専門に扱うService Insurance Companiesを買収することで合意した。中小企業向けの労災保険を強くする。継続中
  • 2026.07ブラジルFator Seguradoraの買収契約子会社のSOMPOインターナショナルが、ブラジルで企業向けの財産保険・保証保険などを扱うFator Seguradoraを買収する契約を結んだ。2023年にコンシューマー事業を手放したブラジルで、企業向けを広げる。継続中

出資の相手は保険の外へ、買収の相手は海外の保険会社へ。2つの方向が、同じ年表の中で並んでいる

新規事業マニアの解説

ここまでを、ひとつにまとめると

SOMPOホールディングスの28件のうち12件は出資と資本業務提携です。ティアフォーには2回で約198億円、RIZAPグループには200億円を出しました。

海外では、農業保険の2件から始まり、2025年にAspenを約5,195億円で買うと決めました。

自分が担当だったら

SOMPOの28件から持ち帰れるのは、「同じ相手に、段階を分けて入れる」という見方だと思う。

ティアフォーには約2年をあけて2回出資した。農業総合研究所は、2021年に設立したデジタル子会社SOMPO Light Vortexを通じて公開買付けをした。自分で立ち上げた会社が、次の買い手になっている。

いま自分が担当なら、出資の稟議に「次に入れるとしたら、いつ、どの会社から入れるか」を一行書き添えると思う。1回目の出資を、2回目の入り口として説明できるからだ。

READERS' VOICE

ここまで読んだ、あなたへ

ひとつ選ぶと、ほかの読者が何を選んだかが、その場で見えます。
この記録がどう受け取られたのかを、みんなで確かめる場所です。

NEWFOR MEMO
新規事業マニアのメモ ─ 自分が担当だったら

自分が担当だったら、この年表から持ち帰るのは「同じ相手に段階を分けて入れる」と「自分でつくった会社を次の買い手にする」の2点だと思う。

金額か比率が書かれている出資:akippa(2019年10月、約33.4%)→Palantir(2020年6月、500百万米ドル)→ルネサンス(2020年7月、7.5%)→ティアフォー(2020年8月、約98億円)→ABEJA(2021年4月、21.9%)→Cover Genius(2021年9月、約55億円)→ティアフォー(2022年7月、100億円)→RIZAPグループ(2024年6月、200億円)→鎌倉新書(2025年12月、10%)。

海外の保険会社の買収5件:Diversified(2020年9月、米国の農業保険)→ARA 1857(2021年9月、イタリアの農業保険)→Aspen(2025年8月、約34.8億米ドル=約5,195億円、2026年2月完了)→Service Insurance Companies(2026年7月、米国の労災保険)→Fator Seguradora(2026年7月、ブラジルの企業向け保険)。

最後に注意点。海外の買収5件のうち、金額が書かれているのはAspenだけで、ほかは記載がない。Diversifiedの「1,084百万ドル(約1,142億円)」は2019年の取扱保険料で、買収金額ではない。ティアフォーの2022年の発表にある「296億円」は、ティアフォーの創設以来の累計資金調達額で、SOMPOの出資額の合計ではない。Palantirの500百万米ドルは米国本社への出資で、日本法人の出資比率は書かれていない。

Soichiro新規事業マニア
40代 / 事業開発
新規事業マニア。20代でスタートアップを立ち上げ、1社を上場企業へ売却。その後、外資系コンサルティングファーム、通信大手、大手人材グループ、国内大手ITサービスの中で、社員として新規事業の立ち上げに携わる。並行して顧問として10社近くの新規事業を担当。事業立ち上げ歴20年。名前は、本田宗一郎への敬意から。
20年 事業立ち上げ歴1社 上場企業へ売却4社 事業会社の中で立ち上げ10社 顧問として担当