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住友商事の25件のうち、11件はこの12か月に集まっている。
5件を次へ渡し、6件を始めた

25件を年の順に並べると、後ろの11件が、2025年10月から2026年9月までの12か月に入っています。そのうち5件は次へ渡したもの、6件は始めたもの。住友商事はこれを「中期経営計画2026」の事業ポートフォリオ変革と呼んでいます。

Soichiro2026年9月29日じっくり読んで 約8分
記録した新規事業
25件
2011年10月の住商情報システムとCSKの合併から、2026年9月のタイの発電会社の株式譲渡まで、公開情報から拾って年表に並べた件数です
2025年10月からの12か月に次へ渡した事業
5件
北米のメロン事業、マダガスカルのニッケル、住商セメント株70%、ベルギー沖の洋上風力3案件、タイの発電会社ABPLの株式15%です
同じ12か月に始めた事業
6件
SCSKの完全子会社化に向けた公開買付け、アジアの海底ケーブル会社、100億円規模の投資ファンド、米Air Leaseの買収、CO2除去の合弁、英国の浮体式洋上風力です
米Air Leaseの取得総額(予定)
74億米ドル
2025年9月2日の住友商事の発表。約1兆878億円。4社で全株式を取得し、買収後の住友商事の出資比率は37.505%としています
この記事はこんな方に
  • 事業の入れ替えを担当する方へ。渡す5件と始める6件を、同じ12か月の中でどう並べたかを、住友商事自身の発表で追えます
  • エネルギーや脱炭素の担当の方へ。ベルギーの洋上風力3案件を渡しながら、英国の浮体式洋上風力とCO2除去の合弁へ入った順番がわかります
  • M&Aの担当の方へ。SCSKの公開買付け(1株5,700円)と、4社で組んだ米Air Leaseの買収の、金額と出資比率が並んでいます
3行でいうと
  1. 住友商事の年表25件を順に並べると、後ろの11件が2025年10月から2026年9月までの12か月に入っている。そのうち5件は次へ渡したもの、6件は始めたものである。
  2. 次へ渡した5件は、北米のメロン事業(2025年10月)、マダガスカルのニッケル(2026年5月)、住商セメント株70%(2026年7月)、ベルギー沖の洋上風力3案件(2026年7月)、タイの発電会社ABPLの株式15%(2026年9月)。住友商事は、ベルギーとタイの発表で、これを「中期経営計画2026」の事業ポートフォリオ変革の一環としている。
  3. 始めた6件のうち最大は、SMBC Aviation Capital・Apollo・Brookfieldと組んだ米Air Leaseの買収で、取得総額は約74億米ドル(約1兆878億円)の予定、住友商事の出資比率は37.505%。2026年4月に完了し、「Sumisho Air Lease」として始動した。

住友商事の年表25件を、年の順に並べてみた。

後ろの11件が、2025年10月から2026年9月までの12か月に入っている。そのうち5件は次へ渡したもの、6件は始めたものだ。

住友商事は、この入れ替えを「中期経営計画2026」の事業ポートフォリオ変革と呼んでいる。渡して空いた資金と人を、伸ばしたい分野へ回す、という考え方である。

この記事は2026年9月時点の公開情報にもとづきます。数値は住友商事および各社の公表値です。公表値が確認できないものは、その旨を書いています。

12か月で、5件を次へ渡した

2025年10月、北米のメロン事業。2017年に買ったアイルランドの青果会社ファイフスの下にあったメロンの生産・販売事業を、米国の会社へ渡すことにした。

2026年5月、マダガスカルのニッケル。54.17%を出資していたアンバトビーニッケルプロジェクトの全持分を渡すことを決めた。

2026年7月、セメントと洋上風力。住商セメントの株式70%を住友大阪セメントへ渡し、30%の株主として残った。同じ月に、2013年から参画してきたベルギー沖の洋上風力3案件(Northwind・Nobelwind・Northwester2)の持分を売ると決め、うち2案件はJERA Nex bpへの譲渡を終えた。

2026年9月、タイの発電。2007年から出資するタイの電力会社ABPL(ガス火力と太陽光で合計約1,400メガワット)の株式15%を四国電力へ渡した。住友商事は15%を持ち続け、これを「開発と売却を組み合わせた資産回転型ビジネス」と位置づけている。

用語資産入替しさんいれかえ

持っている事業や設備の一部を次へ渡し、そこで生まれた資金で新しい事業に投資することです。住友商事はベルギーの発表で「戦略的資産入替」と書いています。

実務のコツ

渡し方は1つではない。住商セメントは70%を渡して30%を残し、タイのABPLは15%を渡して15%を残した。全部を渡すか、一部を持ち続けるかも、打ち手のひとつだ。

CHART

事業稼働チャート

住友商事が2011年以降に記録した主な動きと、その期間
住商情報システムとCSKが合併(SCSK)2011–
愛Fyffesを完全子会社化2017–
デジタル広告のCreaditsに出資2020–
培養魚肉のBlueNaluに出資2020–
データ分析のKIYONOに出資2020–
チリ銅鉱山(2022年にSouth32へ)2011–2022
カード発行のナッジに出資2022–
米Saconixを買収し硫酸事業へ2023–
J:COMにケーブル事業を集約2023–
豪スカボロガス田の権益2023–
長崎・江島沖の洋上風力2023–
エアバッグ事業(2024年に譲渡)2024–2024
独EEW Offshore Windに出資2024–
ネットワンをSCSK傘下に2024–
SCSKへTOBし完全子会社化へ2025–
北米のメロン事業(2017年のFyffes買収から)2017–2025
アジア海底ケーブル新会社2026–
100億円の新興投資ファンド2026–
米Air Leaseの買収2026–
マダガスカルのニッケル持分を譲渡2026–2026
米GraphyteとCO2除去の合弁2026–
住商セメント株70%を譲渡2026–2026
ベルギー沖の洋上風力3案件(2013年から)2013–2026
英国の浮体式洋上風力Gwynt Glas2026–
タイの発電ABPL株式15%(2007年から)2007–2026
201120142017202020232026
継続中役目を終えた

同じ12か月に、6件を始めた

2025年10月、SCSK。子会社のSCSKを完全子会社にするため、1株5,700円で公開買付けを始めた。12月13日の結果の発表では、買付け前に住友商事側(特別関係者)が持っていた50.54%に、公開買付けで取得した38.09%が加わっている。

2026年1月と3月、海底ケーブルとファンド。NTTデータグループ、JA三井リースと、日本とマレーシア・シンガポールを結ぶ海底通信ケーブルの会社を設立した。3月にはCVCの住商ベンチャー・パートナーズが、100億円規模の新しい投資ファンドを設立している。

2026年4月、米Air Lease。SMBC Aviation Capital・Apollo・Brookfieldと組んだ買収を米国時間4月8日に完了し、同社は上場をやめて「Sumisho Air Lease」として始動した。2025年9月の発表では、取得総額は約74億米ドル(約1兆878億円)の予定、住友商事の出資比率は37.505%である。

2026年6月と8月、CO2除去と浮体式洋上風力。バイオマス残渣を固めて地下に貯留する米国の新興企業Graphyteと、住友商事49%・Graphyte51%の合弁会社をつくることで合意した。8月には、英国ケルト海沖の浮体式洋上風力「Gwynt Glas」の株式33.3%を取得して参画した。住友商事として初めての浮体式である。

メロン、ニッケル、セメント、ベルギーの洋上風力、タイの発電を次へ渡し、航空機リース、海底ケーブル、CO2除去、浮体式洋上風力を始めた。住友商事の12か月

TIMELINE

住友商事の新規事業 年表

公開情報から拾った25件(2011〜2026年)
  • 2011.10住商情報システムがCSKと合併住友商事グループの住商情報システムがCSKを吸収合併し、2011年10月1日にIT分野の新会社「SCSK株式会社」が発足した。継続中
  • 2017.02愛Fyffesを完全子会社化アイルランドの青果卸大手ファイフス社をアイルランド法のスキーム・オブ・アレンジメントで買収し、2017年2月17日付で完全子会社とした。継続中
  • 2020.04デジタル広告のCreaditsに出資2020年4月、広告主とデザイナーを結ぶデジタル広告制作の基盤「CREADITS」を運営するCreadits社に出資した。継続中
  • 2020.05培養魚肉のBlueNaluに出資2020年5月、魚の細胞から魚肉をつくる米国サンディエゴの新興企業BlueNalu社に出資し、パイロット工場の建設を後押しした。継続中
  • 2020.08データ分析のKIYONOに出資子会社SCデジタルメディアが2020年8月、顧客データを分析してマーケティング施策まで実行する新興企業KIYONOに出資した。継続中
  • 2021.10チリ銅鉱山権益をSouth32へ譲渡2011年から参画したチリのシエラゴルダ銅鉱山事業の全出資持分を、豪South32社へ約510百万米ドルで譲渡することを決定し、2022年に次へ渡した。役目を終えた
  • 2022.10カード発行のナッジに出資CVCの住商ベンチャー・パートナーズが2022年10月、誰でもクレジットカードを発行できるサービスを手がけるナッジ社にシリーズAで出資した。継続中
  • 2023.06米Saconixを買収し硫酸事業へ2023年6月、米国西部などで硫酸の調達・販売・物流を手がけるSaconix社を買収し完全子会社とした。同社の2022年12月期売上高は約102百万米ドル。継続中
  • 2023.07J:COMにKDDIケーブル事業を集約KDDI、J:COMとともに、KDDIのケーブルテレビ関連事業をJ:COMへ引き継ぐことを決議し、2024年1月から実施した。継続中
  • 2023.08豪スカボロガス田の権益を取得2023年8月、豪ウッドサイドと組み、西豪州スカボロガス田開発プロジェクトの権益10%(住友商事持分5%)を取得することで合意した。継続中
  • 2023.12長崎・江島沖の洋上風力事業者に東京電力リニューアブルパワーと組み、長崎県西海市江島沖の洋上風力発電事業(発電出力42万kW)の開発事業者に選ばれた。継続中
  • 2024.06エアバッグ事業の株式を譲渡住商エアバッグ・システムズの株式82.84%をSC Airbagホールディングスへ譲渡することを決め、2024年11月をめどに事業を次へ渡した。役目を終えた
  • 2024.08独EEW Offshore Windに出資2024年8月、洋上風力の基礎構造物「モノパイル」製造で世界最大手の独EEW Offshore Wind EU Holdingへの出資を決めた。継続中
  • 2024.12ネットワンをSCSK傘下に子会社SCSKがネットワンシステムズに公開買付けを実施し、2024年12月に議決権割合79.69%を取得して連結子会社とした。継続中
  • 2025.10SCSKへTOBし完全子会社化へ2025年10月、子会社SCSKに対し1株5,700円・総額約8,820億円の公開買付けを始め、完全子会社とすることを目指した。継続中
  • 2025.10メロン事業を米社へ譲渡子会社ファイフス経由で持っていたメロンの生産・販売事業「SOLグループ」を、米Eagle Produce社へ渡すことにした。2017年のファイフス買収から続いた事業を引き継いでもらう形とした。役目を終えた
  • 2026.01アジア海底ケーブル新会社を設立NTTデータグループ、JA三井リースと、日本とマレーシア・シンガポールを結ぶ海底通信ケーブルの事業会社「Intra-Asia Marine Networks」を設立した。総事業費は1,500億円規模。継続中
  • 2026.03100億円の新興投資ファンド設立CVCの住商ベンチャー・パートナーズが2026年3月、100億円規模の新しいスタートアップ投資ファンドを設立した。継続中
  • 2026.04米航空機リースAir Leaseの買収を完了4月9日発表。SMBC Aviation Capital、Apollo、Brookfieldと共同で進めた米国の航空機リース会社Air Leaseの買収を米国時間4月8日に完了し、同社は上場をやめて「Sumisho Air Lease」として始動した。2025年9月の発表では取得総額は約74億米ドル(約1兆878億円)の予定、住友商事の出資比率は37.505%。継続中
  • 2026.05マダガスカルのニッケル持分を譲渡取締役会で、54.17%を出資するマダガスカルのアンバトビーニッケルプロジェクトの全持分を譲渡することを決議し、2026年に次へ渡した。役目を終えた
  • 2026.06米Graphyteと合弁でCO2除去事業へ6月4日発表。バイオマス残渣を固めて地下に貯留し、CO2除去のクレジットを生み出す米国の新興企業Graphyteと、住友商事49%・Graphyte51%の合弁会社を米国に設立することで合意した。アーカンソー州のもみ殻を使うプロジェクトを中心に、クレジットの創出と販売を行う。出資額の記載はない。継続中
  • 2026.07住商セメント株70%を譲渡完全子会社の住商セメントの株式70%を2026年に住友大阪セメントへ譲渡し、経営の主体を移した。譲渡後は30%の株主として関わる。役目を終えた
  • 2026.07ベルギー沖の洋上風力3案件を売却7月3日発表。2013年から参画したベルギー沖の洋上風力3案件(Northwind・Nobelwind・Northwester2)の持分を売却すると決め、うち2案件はJERA Nex bpへの売却を完了した。残るNorthwindは2026年度中の完了を予定。住友商事が開発・建設・運営の各段階に関わった事業で、売却金額の記載はない。役目を終えた
  • 2026.08英国の浮体式洋上風力Gwynt Glasに参画8月10日発表。EDFとアイルランド電力公社が英国ケルト海沖約40キロで開発する、総設備容量約1.5ギガワットの浮体式洋上風力発電の事業会社の株式33.3%を取得して参画する。住友商事として初の浮体式で、取得金額の記載はない。継続中
  • 2026.09タイのガス火力発電の株式15%を四国電力へ9月17日発表。2007年から出資するタイの電力会社ABPL(ガス火力・太陽光で合計約1,400メガワット)の株式15%を四国電力へ譲渡した。譲渡後も15%の株主として関わる。売却金額の記載はない役目を終えた

洋上風力では、渡すと入るが同じ年に並ぶ

洋上風力だけを抜き出すと、入れ替えの形がよく見える。

2023年12月に長崎・江島沖の洋上風力の開発事業者に選ばれ、2024年8月には洋上風力の基礎をつくる独EEW Offshore Windへの出資を決めた。2026年7月にベルギー沖の3案件を渡すと決め、翌月、英国の浮体式に参画した。

ベルギーの発表には、2026年5月にフランスの洋上風力が商業運転を始めたことも書かれている。渡す案件と入る案件を、同じ分野の中で入れ替えている。

新規事業マニアの解説

ここまでを、ひとつにまとめると

2025年10月からの12か月で、住友商事は5件を次へ渡し、6件を始めました。年表25件のうち11件が、この1年に集まっています。

最大の1件は米Air Leaseの買収(取得総額 約74億米ドルの予定・出資比率37.505%)。洋上風力では、ベルギーの3案件を渡し、英国の浮体式に入りました。

挑戦する人の視点で見ると

住友商事の25件から持ち帰れるのは、「渡す」と「始める」を同じ時期に、同じ数だけ並べるという組み立て方だと思う。

渡した5件には、2007年、2013年、2017年に始めた事業が含まれている。長く育てた事業を次の持ち主に託し、その同じ12か月に、航空機リースやCO2除去のような新しい事業へ入っている。

いま自分が担当なら、自社の年表から直近12か月だけを切り出し、「渡した」「始めた」の2列に並べてみると思う。2列の長さがそろっているかどうかが、入れ替えが進んでいるかどうかの目安になる。

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NEWFOR MEMO
新規事業マニアのメモ ─ 自分が担当だったら

自分が担当だったら、この年表から持ち帰るのは「入れ替えは、渡す側と始める側を同じ表に書くと見える」という一点だと思う。

次へ渡した5件(2025年10月〜2026年9月):北米のメロン事業(2025年10月)→マダガスカルのニッケル全持分(2026年5月)→住商セメント株70%(2026年7月)→ベルギー沖の洋上風力3案件(2026年7月3日)→タイのABPL株式15%(2026年9月17日)。

始めた6件:SCSKへの公開買付け 1株5,700円(2025年10月)、アジアの海底ケーブル会社(2026年1月)、100億円規模の投資ファンド(2026年3月)、米Air Leaseの買収完了(2026年4月9日。取得総額 約74億米ドル・出資比率37.505%は2025年9月2日の発表)、Graphyteとの合弁 住友商事49%(2026年6月4日)、Gwynt Glas 33.3%(2026年8月10日)。

それより前の渡した2件:チリのシエラゴルダ銅鉱山 約510百万米ドル(2021年10月14日の発表。条件つきで最大150百万米ドルの追加受領)、住商エアバッグ・システムズ株式82.84%(2024年6月)。

最後に注意点。ベルギーの3案件、タイのABPL、Graphyteとの合弁、Gwynt Glasは、いずれも金額の記載がない。SCSKの公開買付けの総額は、今日は住友商事自身の発表で確認できていないので、この記事では1株の価格だけを書いた。マダガスカルのニッケルは、年表の出典が報道(レスポンス)である。

Soichiro新規事業マニア
40代 / 事業開発
新規事業マニア。20代でスタートアップを立ち上げ、1社を上場企業へ売却。その後、外資系コンサルティングファーム、通信大手、大手人材グループ、国内大手ITサービスの中で、社員として新規事業の立ち上げに携わる。並行して顧問として10社近くの新規事業を担当。事業立ち上げ歴20年。名前は、本田宗一郎への敬意から。
20年 事業立ち上げ歴1社 上場企業へ売却4社 事業会社の中で立ち上げ10社 顧問として担当